考察

今回はバレンタインを考察したいと思う。
バレンタインと言えばハーピーだ。
そのクールな顔立ちと、ハーピーと言うポップな響きの
名前はリアルタイムから結構好きだった。

が、その扱いは結構散々だ。
単行本で見る限り気障そうなただの嫌な奴に終わっている。
星矢との戦いも今ひとつ緊迫感が無いし、いつの間にかやられちゃっている。
当時は大分内容がダレて来たし、適役を細かく描写をする余裕が無くなって来たのだろう。

しかし、アニメ版では浅はかさは据え置きとして星矢と緊迫した戦いを繰り広げ、
また悪役でありながら必死に戦う星矢を賞賛するしたり、
原作のようにいつの間にかではなく一騎打ちの果てに倒れたりと、
12宮編のラダマンに匹敵するほどの破格の優遇を受けている。

管理人がこのバレンタインを支持するのは、彼がラダマンティスの器と実力を示唆した立役者だからだと思う。
バレンタインを無くして三巨頭のラダマンティスは語れない。
ルネを無くしてミーノスは語れない。アイアコスは…。

さておき、今回はそのバレンタインを考察してみたいと思う。

考察1…『上司に忠実』

これは言うまでも無い。
上司を呼び捨てにした星矢達に『血反吐を吐いて死ぬが良い!』などと言うぐらい。
名言中の名言『ラダマンティス様の御命令がなければ、たとえ首を刎ねられても動くものではありません!』
発言など、この人は今ひとつものの譬えがグロテスクな気がする。
また、アニメ版では『この全てをハデス様に捧げた身』発言など、組織への強い忠誠心が窺える。
それを『この全てをラダマンティス様に捧げた身』と脳内変換するのは腐女子の合い言葉。

LCでは上司ラダマンティスに忠実すぎて結果的にパンドラひいてはハーデスに反旗を翻す結果となってしまい、木星の守人の地位を与えられながら敵の一人も倒せずラダマンティスに粛正されるという壮絶な最期を向かえている。


考察2…『知的で冷静なイメージ』

一人称が私、二人称が君など、結構言葉遣いが綺麗な印象があるので案外育ちは良いのかもしれない。
悪役の参謀によくありがちな慇懃無礼な立ち回りが似合う。三白眼と相俟ってスーパークールな仕様となっている。

知的で丁寧なイメージだが、脚本の都合で少々浅はかに描かれている。それが冥界編に於ける、冥闘士達の仕様と言うものなのか。
星矢の挑発に乗って彼を解放したことから、一部では冥王軍に敗北をもたらした原因を作った男とも言われている。

それで星矢を平気で脚蹴りにするシーンは鬼気迫るものがあるが、クールの仮面が取れて崩れるところもギャップがあってまた良いのだ。


考察3…『名前の語源』

バレンタインで誕生日が2/14日で必殺技がスウィート・ショコラーテならば絶対に聖ワレンティヌス伝説だろうと思うが、出身地のキプロスがイスラム教もしくは正教会なので、あまり擦っていない気がする。正教会にも聖ワレンティヌスの殉教はあるが、7月か8月だ。

『血反吐を吐いて死ぬが良い!』と言うぐらいなので1929年のシカゴで起きたギャングの抗争事件「血のバレンタイン」が名前の元になっているのではないかと思う。

また、第二次世界大戦中イギリス軍が対ナチスドイツの拠点としてにフェロー・アイスランドに進出した作戦を『バレンタイン作戦』と言う。フェローはラダマンティスの出身地※とされているので、これも彼の名前の語源ではないかと思っている。

※ラダマンティスのイギリスのフェローズ諸島と記載されているが、カノン島同様フェローズ諸島は実在しない。
フェロー諸島は実在するが、イギリスではなくデンマーク領の自治区である。第二次世界大戦中はイギリスの占領下であったが、1948年には自治政府となっている。


考察4…『制作者に愛される傾向』

原作では鳴り物入りで登場していつの間にか倒された彼だが、OVAでは尺が長くなっており、永らく謎とされて来た素顔を見せ、星矢と一騎打ちをして果てるという描写に切り替えられていた。
原作通りあっさり倒されたルネ・アイアコスに較べたら破格の待遇だ。

LCでもバイオレート同様ただの悪役ではなく自身の信条で闘う戦士であることと、主ラダマンティスへの思いが描かれていた。残念ながらその思いはバイオレートのように昇華することは叶わずに悲劇的な結果に終わってしまった。

そして2012年、聖闘士聖衣神話のラインナップが全網羅したところで満を期して一般販売された。
2010年前後の造型が低迷したので不安の声もあったが、かなりのクオリティで再現された。
それどころか黒目がちになって美形指数が上昇している。
ルネでさえ試作のみでプレミアムバンダイですらリリースのめどが立たないのでこれは破格の待遇だ。

難点はマイナーすぎたことで、折角美形に作っても『誰?』の一言で終了し、かなりの期間店頭に残っていた。その後、採算が取れなさそうなマイナーなラインナップはプレミアムバンダイの受注生産のみとなった。後発のミュー・カロン・ファラオは速やかに受注生産からリリースされている。

アマゾンのレビューで「上唇尖り過ぎ」とあったが、その後のEXの口元も全部ああなので、ある意味時代を先取りしている顔だと思う。


考察5…『左利き説』

これは某サイト様の考察で、左利きである特徴が随所に見られるのだそうな。
一番顕著なのが立て膝を突いた時に左手を突いたこと。
これは主に立て膝を突くと利き手を突いてしまう事から来ており、ラダマンティスは立て膝の時に右手を突いているのだそうな。そう言えば確かに。
勿論管理人も左利き推奨です。


考察6…『冥衣のデザイン』

ラダマンティスの冥衣を最高峰と信じていた管理人がワイバーンの次に美しいと思っていた冥衣が
ハーピーのものだった。
グリフォンやガルーダは今ひとつ重厚になりすぎて見辛いきらいがある。
このハーピーとワイバーンだが、デザインを流用したのかと言う程あしらいが似ている部分がある。
上司同様シンプルにまとめられた冥衣と、遠目に見るとハートに見える羽のラインはバレンタインのトレードマークだ。
だだ、あの長ーい腰パーツはどこぞの現住民族を思い出してしまうことがある。


考察7…『出身地』

キプロスであったことが当時はかなり意外で、チョコ繋がりでベルギー人かとばかり思っていた。

そのキプロスだが、元イギリス領でトルコ人とギリシャ人の内乱で永きに亘ってもめており、互いが互いの民族を憎しみ合うあまり、報復が凄まじいのだ。   
侮辱されとあれば、相手に死をもって償わせても罪に問われない社会であったと言う。
早い話がリンチが横行していたのだ。これは半世紀前の話なので、現在はそうではない。

そのキプロス出身のバレンタインだからこそ、『血反吐を吐いて死ぬが良い!』なんて過激な発言も出来るのだろう。
つまり、彼は自分や尊敬するラダマンティスが侮辱されたとあれば即座に死をもって償わせるのだ。
それが当然の文化に育ったのだから、そのような価値観を持つに至ったのだろう。
自分の出身国が植民地であった手前、宗主国であるイギリス(?)人のラダマンティスに何らかのコンプレックス持ってそうだが、屈折した形に昇華してそうな気もする。

北キプロス、南キプロスどちらの出身か迷った時期があるが、少なくとも南北分裂前に生まれているので、そのどちらでもないだろう。
彼が生まれた当時のキプロスは内線真っただ中なので、相当の地獄を見ただろうと思う。

そしてこれも意外なのは、ゼーロスがカンボジア人であることと、パンドラが西ドイツ東ドイツどちらの出身であるかだ。


考察8…『素顔について』

バレンタインがマスクを取った素顔については2006年のOVAリリースまで永らく謎とされて来た。
前髪はあるのかはたまたオールバックなのか、オールバックでも実はベジータのようになっているのか、眉毛は果たして存在するのか。
だが、OVAオリジナル脚本によって素顔が明らかとなり、その上2012年にマイスまでリリースされたので。その謎については今や過去のものとなっている。

もっと謎だったのがリュムナデスのヘルメットを取った頭だと思う。これもマイスで再現されている。
個人的にはゼーロスがどうなっているのか知りたいところだ。


考察番外編…『ハーピア』

これは完全に管理人の偏見だが、ラウル・セルヴェの短編『ハーピア』の影響で
バレンタインは悪食だと思う時期があった。
必殺技『グリード・ザ・ライブ』にそれは象徴されている。
しかし原作や二次創作ではどう見ても上司に全てを捧げる無欲な人にしか見えないし、
管理人の完全なる誤解だ。
なので、夜は貪欲なのだと言うことに勝手に解釈することにした。
余談だがこのラウル・セルヴェの短編集には『ハーピア』の他に『パピヨン』など、
バレミュー好き心を微妙にくすぐる
ラインナップを揃えてあるが、6300円するのが少し痛い。これをマイスに換算すると1サガに相当する。
ちなみに4725円は1ラダだ。
しかし管理人は某ウェブショップでぼったくられて6000円でラダを買ったので4500円から
6000円までの間を1ラダに換算している。結構アバウト。5250円なら1ミノ・1バランに相当する。
マイス換算はさておきこのラウル・セルヴェ、興味と財布に余裕のある方は一見あれ。
念のために警告しておくが、『ハーピア』に出て来るハーピーはスキンヘッドにクマのねえちゃんで、
彼女を拾った男に悲劇が降り掛かるブラックコメディだ。
『パピヨン』は実写とアニメーションの融合が息を飲む程美しいアニメで、
こちらはブラックとは無縁だ。
て、全然バレンタインと関係のない話になっているな…。


以上がバレンタインに対する私的見解の数々で、気が向けばまた追記すると思う。

ページのトップに戻る